国家論



 国民経済の成長(信用貨幣の創造:国民純資産の増加率=国民所得の増加率)は、金利、国防力、外交力という三つの独立変数の従属変数である。NW=f(i、f、n) =df(i、f、n)/di+df(i、f、n)/df+df(i、f、n)/dn=0*偏微分した微分形式の数式(微分形式化できればブローイングにより特異点は解消されている。)は、多重指数記法によりテイラー展開可能であるベクトル空間上の複数変数の写像の内積の幾何的平方であり、それぞれ多重積分形に変形したり、測度変換し確率・統計を応用した実解析のシミュレーションも可能。[NW:Natinal Wealth,i:interest,f:force,n:negotiator]

221:NW>0では中核国、NW=0では永世中立国、NW<0では周辺国であり、抜け駆けをしない限りはゲーム理論的に国家間での均衡が発生し平和な国際社会になることが証明される。「y^2=Σ[\sum_{t=1}^\dt](NW-MC0*C0は基礎消費だが限界基礎消費MC0では基礎消費を行う人口はゼロ人以上である。)=1。y=√Σ[\sum_{t=1}^\dt](NW−MC0)^dt=0」は標準的国家の国富の微分方程式である(標準的国家の国富は基礎消費だけであり国富が基礎消費と同額ならば軍事力を所有していないため永世中立国になり戦争を行わないので外交も必要なくなるがその時点の微分された時間dtによりどのように級数展開しても分散1になるのでその幾何平均[標準偏差と同義になる。データは標準化されると標準化後のデータの分散及び標準偏差は1になるのに対して平均は0になるため幾何平均のようになるため。]であるy^2の累乗根は限りなく0に近づくととらえるならば標準化された国富を持つ国家の方程式が導出されたことになる。→本稿独自の罪を帳消しにする微分法である幾何平均微積分法及び微分級数展開)。ゲーム理論的な国富とは一国だけでなく二か国以上で均衡条件に従って国家毎に戦略的な一定の資源分布が示されている状態。
1-2:⒈外交等の交渉力により
情報の非対称性を緩和し双方の意思を明確化し軍事衝突を回避すれば、軍事力が減少低下しないので国富が維持される。⒉国際均衡を無視して軍事活動を行えば軍事活動を行うことにより国富は費消減耗され当事国は周辺国に後退する。
2:NW方程式には、確率測度が応用できるので、経済物理学的に考察できるが、NW方程式のゲーム理論的均衡理論において、熱的死とは、国家間での国富の不均衡のことを意味し、グローバル資本主義はゲーム理論的均衡理論においてプラグマティズム的帰結(公理論的哲学における非基礎づけ主義的帰結やツァラトゥストラ的帰結[第三部等]及び東洋的帰結)として不均衡から均衡状態に至ることが証明される。
3:もし平時に国防費を増大させ国富を増大させたとすれば(社会心理及び世論の方向付けによるインフレ期待や情報も物理的力による国富増大と捉えられている。)、当事国の一人勝ち状態という不均衡(熱量増大)が発生したことに対して、他国からの軍事力の行使という技術的特異点としての有事を誘発し、やがて均衡に至る。軍事力を行使しようとすれば他国からの干渉を招くが、他国からの干渉を回避して国富を増大させるには、国連安全保障理事会での恒久的地位と国際世論を統一し方向付けるための国際分業体制のように機能する多国間の同盟に基づく外交網が必要になる。
3-1:NW方程式における国際的平和状態はゲーム理論的均衡における停戦、軍縮、抑止力の強さ、世論の動向、プロトコルに基づく法意識といった多様な段階に見いだされる。
4:NW=d(f-n)/diのf-nはfとnの多項間漸化式の特性方程式であり、消費国において金利政策により設定される金利に対する金利以外の全ての変数の弾力性を数式で表すと同時に、NW方程式の補題となるNW方程式の簡易な解法であり、予め金利に応じた国富の分布の全ての数値計算結果を算出しその中から望ましい利率を選択するための金利政策を中心にした国富の数理モデルである。

5:帝国とは、経済物理的な金利(信用貨幣の根拠は法であり、国家は仮想通貨も含めた貨幣鋳造権を持ち、法定通貨のレートを決定している。イングランド銀行の金利政策が起源とされている1。)と情報(社会心理に作用して意見や法規範の因果律を通じて物理的力、因果律へ還元する作用。)のシステム論的総和23であり、絶対無4の非連続的連続において黙示録的に示される霊性である
5-1-1:NW方程式の三つの独立変数は全て法という因果律に還元される。
5-1-2:社会心理の物質化(熱量増大)は合理的期待のような因果律を根拠とした認識により成立する。      
5-1-2:規約を守り、規約に基づき判断することが情報価値の維持のためには重要である。
5-1-3:軍事行動により過剰に物質化された社会心理の伝播は情報エントロピーを増大させるが、自己言及的矛盾が技術的特異点として発生し、精神的対話のための意思疎通が遮断され、意思決定能力を阻害する技術的特異点は、社会を抵抗度合いに応じて孤立させる。意思疎通の遮断は戦争の誘因となるもので、技術的特異点は戦争により引き起こされるものであるため後述する期待物価のパラドックスを引き起こす。
5-2:反対に社会心理が過剰に非物質化(情報消去)される場合もカオスの非線形情報(超物理的霊力作用や法的契機を引き出すことにより悪霊は祓われる。)により技術的特異点が発生する。この技術的特異点(社会心理のアノマリー状態)は、例えば国家活動なら、危機管理の強化や法的対応により、組織 活動なら統制を取り自己保存のための道徳宗教と言ったコナトゥスにより、一定の物理的力を行使しエントロピーを増大させていた外部との接点にある特異点を解消することにより収束する
5-3-1:物理量最大化=情報価値最大化物理量を増加させれば熱量増加分に応じて熱的死と同様の法則により情報価値が発生するのであり、文化資本の所有のように、全くの熱量増大なしに発生するエントロピー低下も存在する。
5-3-2:宗教とは、本体となる生命の物理的な熱量最大化後の熱的死による情報価値の最大化を根拠とした永遠の価値(神の超物理的霊力作用567。プラトンのイデアや大乗起心論に説かれた真如知や観音の大神通力のようなもの。)を生ずる生命の最高の法(阿耨多羅三藐三菩提という超科学的知識)である。        
5-3-2-1:宗教は、全く物理的力を要せずに絶対無の非連続的連続における霊性の超物理的霊力作用により一定の熱量を発生させ情報価値を生ずる方法である。
5-3-2-2:国家の本質的意味は宗教及び文芸であり、因果律の限界に成立する絶対無の非連続的連続という非物理的霊力作用である8
5-3-2-3:情報価値は掛けられた熱量に比例する
5-3-3:武は文に次ぐ9
5-4:科学的思考により資格に応じた平均回帰が実現するが、エントロピー最大化により固有の質的特異点が発生すると、科学はメトニミー的認識による基体主語の自覚(一種のプラグマティズム的帰結)を媒介して宗教になる。 すなわち、宗教とは公理論的哲学である。
5-4-1:情報価値はメトニミー的認識により発生する。
5-4-2:戦争は科学という因果律により現実化した思考の物理的作用により始まり、その結果としての宗教という不生不滅の霊魂の非物理的霊力作用により終結する。
5-4-3:法は、戦争のエントロピーが最大化する特異点に発生する宗教及び道徳という文化経済的基礎に基づくフィランソロピーによる人間の福祉を生ずる法的契機である(法=幸福[公共の福祉])。
5-4-3-1:それ故に、現実の物理的作用による国家に対して、公的認識を欠如してしまっては観念的な精神的エゴイズムとして自己撞着に陥ってしまうため、文化資本という精神的な固有の質的特異点に基づく永遠の価値は、国家が成立する条件であると同時に、戦争が発生する真実の原因でもあった。しかし、もし宗教や道徳の教えが法に適って真実ならば、宗教や道徳の理想国家は現実化しているだろう。したがって、明晰判明な日本精神の祖先であるアマテラス10という天の下の統一状態を標準と捉えるなら、思想の異なる者同士が別々の国家を建てるか一つの国家であるかは、個人の良心と正義と責任という善のイデアを根拠とする理想国家の真理性の度合いに応じている。また、国家や法という物理的作用に固執している間は情報価値は発生しないため、物質と精神のバランスを取る必要がある。国家や法の記号の死骸に情報価値が生じさせるのは諸行無常の祇園精舎の鐘の声という亡国の音を奏でる弁財天というプラトニストなのである。
6:量的緩和理論はNW方程式の金利の補助定理であり金利政策で準用される代替的パラメーターである。
7:過去から未来に渡る全ての歴史現象はNW方程式に帰着する。
8:期待物価パラドックス11は不均衡を増大させる。

(2023.10.10.筆者記。)

  1. 「連邦準備制度と金融危機」、バーナンキ、一灯社 ↩︎
  2. ガリレオ・ガリレイは天文学や物理学を研究していたが、「星界の報告」では、金融(銀行)との関わりも大きかったことが記されている。物理学と金融の結び付きは従来から存在していたのである。銀行を貨幣鋳造権、物理を軍事力(司令官は王族に準ずる)と捉えるなら、銀行と物理の結び付きは、ニュートンが王立造幣局長だったことや、”Money is king’s sake.”というフランクリンのロイヤルティーの教え(「フランクリン自伝」)にも現れており、銀行と軍の結びつきは王が自らの象徴として貨幣鋳造権を所有していることに相当する。お金は本質的意味の神(王族)なのであり、逆にお金とは何かを知れば神(王族)とは何かを知ることになるのである。また、神(王族)の本質的意味であるお金は神の意志を具現化した公的身体であったことにより、お金には精神世界と現実世界を一致させ、観念的思考を現実化する作用がある。しかし、お金は本質的に投資(働かなくても得られるお金の合理的期待値)であり、お金が本質的形式であるということは、お金は空間の隔壁を超えて存在する時間価値であり、不動の動者という霊的実在(精神は霊と物質の中間)でもあるということである。また、お金にはメタ的に、「闇の奥」(コンラッド)におけるように、金剛界、無為自然、イデア、霊魂、ダルマ、アイデンティティー、メタファーや書物といった男性的で精神的なものという意味合いがある。 ↩︎
  3. 大将という本質的意味の王族がお金に関係すればグランド(富豪)になることに相当するが、これは霊的な不動の動者にお金とのメタ的な関係性(類近似関係)が発生したことに他ならない。 ↩︎
  4. 西田幾多郎の絶対無とは、「ギリシアでは絶対無の思想は明確な形では見出されず,エレア学派において真空あるいは空虚が運動の場として考えられたり,プラトンにおいて有に対する非有が無として考えられた程度である。ユダヤ教,キリスト教では,無は神に対立する否定性としてとらえられ,グノーシス派のウァレンチノスでは闇,沈黙が無の象徴とされ,ハイデガーの無におけるような実体性をもつものとされた。近代のヘーゲルでは,無は弁証法における有の否定としての無とされたが,19世紀後半,ショーペンハウアー,シュティルナー,ニーチェ,シェストフらによりニヒリズムの立場から無,虚無,絶対無,創造的虚無の問題が取上げられた。老子,荘子では無が存在 (者) の原因であることが窓や容器の空を例に説明され,有ではなく絶対無が存在の根拠であることが論理的に明らかにされている。仏教思想にも絶対無の思想が見出され,日本の哲学では西田幾太郎において絶対無の弁証法による絶対矛盾的自己同一の論理が示されている。」(「ブリタニカ国際大百科事典」)
    ↩︎
  5. 「リグ・ヴェーダ」(第二巻十二節)では太陽信仰が表明され、無形の知恵は太陽の聖なる力に喩えられている。 ↩︎
  6. 例えば、仏教においては、総合的概念としての阿弥陀仏(法門)=分析的概念に分割すると無量の寿命+仏陀=寿命が無量である法蔵菩薩(法蔵した摩訶薩=菩提心[般若波羅蜜]を得た衆生=授戒し道を得た衆生→cf.発菩提心陀羅尼「オン ボージシッター ボダハダヤーミー」、観普賢経「我於今日發菩提心。以此功徳普度一切。」)。キリスト教ならば磔刑に架けられたイエス(INRI)の霊魂のこと。寿命が無量である法蔵菩薩を永遠の命を得た法蔵菩薩と捉えるならば、阿弥陀如来とはINRI (正一位稲荷大明神)に係った法蔵菩薩のことを意味することになる。 ↩︎
  7. 超物理的作用の内、超物理的な負の作用を及ぼすものは5-3-1で指摘された技術的特異点であり、悪魔のようなものである。人間は神経細胞の膜電位が一定以上になると、5-1-3で述べたように、イオンチャネルが閉じ活動電位が増加しなくなり鬱病のような症状を引き起こすが、そのような現象が悪魔の正体の一つでもある。仏教の法(国家という法)とは菩提心乃至涅槃の悟りのことであり、ノイズによるエントロピー増大後に発生する因縁という本質的形式における情報価値の発生のことなのである。 ↩︎
  8. 反対に国家や法は物理的作用であり、精神という不動の動者の対極にある。 ↩︎
  9. 「三 政の大體は、文を興し、武を振ひ、農を勵ますの三つに在り。(「西郷南洲遺訓」岩波文庫)」南州遺訓で、武は文という精神的要素の後に続くものである。3つ目の農について、美田を買わず(残さず)という西郷隆盛の七絶が残されており、西郷隆盛はその他にも、勘定のない侍と違いフランス軍が勘定により判断したことを讃頌していたことから、農本主義の立場から重商主義へ転じたことが示されているのであり、美田を買わず子孫のためになるように金銀を溜めるということを意味する。 ↩︎
  10. 日本人をアマテラスの子孫とする思想は、南北朝時代の南朝を正統的王朝とする水戸学派(国学)の思想である。 ↩︎
  11. 利上げと利下げとの間には期待物価のパラドックスがある。
    ・利上げ 円高 平和 神(the God,dux) 経世済民 リストラ 保護主義 銀行 危険回避的 リスクヘッジ
    ・利下げ 円安 戦争 ナチス 賃上げ 自由貿易 投資 危険愛好的 ↩︎