一言経済コラム(2023.8.8〜2023.8.12)



No.11.2023.8.12 教育は経済成長では重要な要素だが、21世紀初頭から日本社会では教育の無償化が進み、北欧や東欧のように、一人当たりの支援額が増大し、中産階級の福祉が充実した教育先進国でさえある。対してアメリカでは、中産階級の外交を主張するバイデン政権だが、中身は世界の警察としてのアメリカの地位を否定するグローバリズム批判であり、アメリカ社会の動向の重大な変化を示すものの、その結果として世界各地で国家同士の対立が発生し、アメリカ国内はインフレにより疲弊している。中産階級の障壁を無くし全社会階級の利害を一致させて雇用を安定させるために本当に必要なのは外交力の制限ではなく、日本におけるように教育である(日本では過去10年間で実質求人倍率は100%を超えていた)。アメリカの中産階級の教育費用水準は日本社会に比べても障壁が大きい。次期大統領選への出馬が決まったデサンティス候補は、中国からアメリカへの資金の呼び戻しによる貿易収支の改善と教育政策の拡充を謳っている。しかし、外交への関心は低く、孤立主義は継続するとしており、アメリカ社会の質への逃避は続いていく可能性がある。

No.10.2023.8.11 お盆で各地への上り下りの帰省ラッシュが続いているが、今年は世界の気候が大変動し、パンデミック後の人の戻りと合わせて、注意が必要である。連日続く30℃以上の猛暑日で、世界の平均気温は世界最高値(17.05℃)を更新した。気温が高まれば海面は蒸発し低くなるのかと思われるが、海面水位もエルニーニョ現象により上昇し、その上昇速度は地球温暖化により完全には止めることができない状態である。ボイル・シャルルの法則で知られる通り、海面水温の上昇による熱エネルギーの増大が止められなければ、熱エネルギーの増大による体積膨張が海面水位を高めて、将来日本沈没を引き起こすと言う。地球環境と国土交通には重大な関係があり、人の世の動きと一致する。

No.9.2023.8.10  日本では、台湾と言ったら風水が有名である。台湾では、不動産関連で風水が参考にされ、夏になると厄除け依頼が殺到すると言う。その台湾は中国本土との対立を深めていると言われている。台湾財閥は中国で大きな影響力を持っていたが、実際には資本的には中国に依存し、一帯一路に組み込まれ協力させられていた。度々アメリカと摩擦を引き起こす台湾がアメリカや日本に非協力的なのは中国社会に同化し影響力が低下しているためではないか。中国は一国二制度だが、中国の資本主義社会の中心は台湾(実質GDP59兆円)ではなく、中国社会の中で劣勢の台湾及び台湾財閥が優勢になれるかどうかは不透明である。しかし、中国に依存し影響力の低下した米中の間で可変的な二枚舌台湾は藻抜けの殻になりアメリカの後ろ盾が必要になったが、その台湾を巡る東アジア情勢次第で今後は日本にとって大違いの結果が帰結するため注目である。

No.8.2023.8.9 日本の学問の水準は低下しているとされ、日本人の論文の引用数は「トップ10%論文」ランキングで、韓国やイランに追い抜かれている。 日本では明治維新以来洋学を通じて国家が主導して学術研究を振興してきたが、もしかしたら国家が質の高い科学研究を行うには限界があるのかもしれない。まず、国家が行える研究は基本研究だけに限られるため、危険な技術開発に繋がるような研究は全て規制され排除されるものの、官僚制の逆選択により科学者一人一人の高い倫理感に基づく主体的な科学研究の発生する余地はないのだろう。科学が急激に発達したのは戦後であり、大学のみならず企業での研究開発だけでノーベル賞クラスの研究結果が沢山出てきた。このような動向には、2008年に成立したイノベーション推進法のように、そもそも大学での経済的価値のある科学者の独自性の高い個性的な定質的研究は制限されレベルは低下しているのであり、企業での研究を推進しようという科学に対する日本人に独自の発想がある。戦前と違い、日本で科学研究が発達するためには平和な社会に基づく必要があり、科学研究は経済発展に繋がる平和的な営みだけに限られることになったのである。日本では、科学研究は、経済的成功と世界平和に繋がっている。

No.7.2023.8.8 ブラックバスを放流すると「外来生物法」に違反して、3年以下の懲役や300万円以下の罰金などの処罰を受けなければならなくなる。特定外来生物は輸入したり、飼育や譲渡することもできなくなったので、ブラックバス釣りのための釣り堀を作ることさえできない状況である。山梨県の国内最高峰のブラックバス釣り大会は現在でも有名だが、ゲームフィッシングのためならブラックバスは放流せずに当初から釣り堀だけにすれば法律で制限されずに済んだかもしれなかったのに、なぜだろうか?ブラックバスの放流は、日本のゲームフィッシング文化の停滞にも繋がった。ブラックバス以外にも、龍谷大生物多様性科学研究センターは今月初めに本来の生息地域から離れた場所で放流されたタナゴが「国内外来種」として発見されていると発表した。報告では明らかになっていないことだが、実際には、タナゴがブラックバスのように在来種に対する危害を与えたなどの事実が無ければ、タナゴを放流したとても、法律違反になるかどうかは、法的にはまだはっきりとは分かっていない。特定外来種の被害もこれからは市町村、主務大臣の判断により多様化する可能性があり、環境保護のための活動が法的妥当性を持つかにはしっかりした根拠が必要である。

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