日本人と減塩

輸入塩 年度内に価格改定の兆し 三重苦が収益直撃し悲鳴 – 食品新聞 WEB版(食品新聞社)輸入塩は一般用塩として食用、非食用で国民生活に欠かせない存在だ。船便の契約更新が行われる来年1月には値上げが確実視されていshokuhin.net

 2022/5/10/の食品新聞によれば、原油、小麦の他に、円安と輸送費が上昇し塩の価格も値上げが確実視されているという。同紙は日本の塩自給率は低く有事の安全保障の観点からも問題視していた。だが、それで問題が解決するだろうか?

 塩の取りすぎは高血圧を引き起こし、死の主要な原因である。減塩対策は国際的に行われて全人類的動向である。日本高血圧学会のHPでは次のようにWHOの減塩の取り組みについて伝えている。

 「高血圧の治療においては食塩制限が重要で,日本高血圧学会は1日6g未満を推奨しています。食塩と高血圧の関係はよく知られていますが,食塩摂取量が非常に少ない地域では高血圧の人はみられず,加齢に伴う血圧上昇もほとんどないことが示されています。食塩制限は,正常血圧の人にとっても,高血圧の予防のために意義が大きいと考えられます。日本では塩分の摂取がまだ多く,一般の人の食塩摂取量について,男性は1日7.5g未満,女性は6.5g未満とされていますが,欧米のいくつかの国では,一般の人にも6g未満を推奨しています。また,世界保健機関(WHO)も,すべての成人の減塩目標を5gにしました。」(日本高血圧学会。https://www.jpnsh.jp/com_salt.html)

 近年は有事対策よりも、非日常に対する日常茶飯の衛生維持こそが社会の喫緊の課題だったのであり、減塩により高血圧のハビトゥスを除去することで、輸入塩価格高騰の問題は解消していく。

 減塩ではなく有事対策に比重を移すことは、考え方そのものが原因となり、経済問題の解決をより困難にする。

 理由は、環境対策への適応の遅れが、持続可能性を低下させ、結果として銅価格高騰の悪影響で非経済性を引き起こしているのと同じだからである。

 塩の取りすぎによる高血圧問題は有事の安全保障対策では解決不可能な問題だ。

 大阪は「日本の商都」の一つであると共に「日本の台所」と言われるが、日本の薄味文化は、江戸時代の大阪で生まれたと言われている。関西の薄味志向は、大阪商人が、丁稚奉公のご飯のおかわりを抑制ために、味付けを薄くして、ご飯の消費を少なくした経営の知恵があったという。関西の薄味志向と経済性には関係がある。

 また、日本人の宗教である神道では神事により都市をロックダウンさせる新型感染症の原因になるような穢れを祓い清める習慣があった。日本古来からの神道には、大衆を養生し守り公衆衛生を維持する機能があったのである。減塩や薄味には、高血圧の原因を解消し、経済性を高める効果があり、日本人全体の嗜好に合っている。

 減塩は日本人の宗教観・健康観と一致し、日本人の生き方は、減塩による衛生確保に有利で成功は確実である。

 日本人の生き方は、塩分取りすぎのハビトゥスを除去し、日常衛生を保ち高血圧予防になり、健康にするだけではなく、世界中の都市を平和にすることになるだろう。(筆者記)


 

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