アングラ化するヨーロッパ経済の危機

 中国の一帯一路はアジアからヨーロッパ、アフリカ一帯を二十一世紀のシルクロードと称する中国の経済政策であり、現時点で世界第二位の経済大国である中国が、ヨーロッパやアフリカへの覇権を根拠にして、世界を動かすアメリカに準じる経済体制を目指して構想した経済構想である。しかし、その一帯一路には問題点が多く、折り返し地点に来ている。

 一帯一路はEU社会を分断させてしまい、ヨーロッパの政情は壊滅的に不安定化してしまった。しかし、2016-2020までのイギリスでのブリグジット論争にはじまり、一帯一路に参加し完全に中国のになっていたイタリアが一帯一路からの離脱を目論んでいることからも、ヨーロッパでの一帯一路政策は形骸化が始まっている。EU諸国は従来通り日本を重視して一帯一路からの脱却を図り、フランスのみ中国社会と自由貿易の継続を主張しているが、いずれにせよ、ヨーロッパ経済は外国経済への依存が増大していることになる。

 イタリアは一帯一路に加盟していたのに対して、一帯一路に加盟していなかったフランスは今後も中国との貿易拡大を継続することになった。一帯一路に加盟していなかったフランスが中国との関係で有利になり、加盟していたイタリアが不利になったのだから、イタリアは一帯一路損だったといえる。外交で有利なフランス語が西側との意思疏通のためには必要とされ国際的な経済活動でもイタリア等の他のヨーロッパ諸国を凌いだのである。経済体制の面では中国のモデルになった一国経済の本場であるドイツ語だが、国際経済との関係ではヨーロッパ共同体の中心国家にはなり得ず、ヨーロッパの中国との貿易ではフランス語がリードすることになった。フランス語は自由主義社会の外交言語というだけでなく、世界経済での共通言語としての性質が高まったことにより、世界言語としても利便性が出てきているのである。

 中国は一帯一路政策により世界各国に進出しているが 社会主義理念を根拠としたドイツ型の一国経済体制を中心とした一帯一路と国際的な金融システムを前提とした利便性を追求する国際経済の考え方は相反しており中国の世界進出はリスクと捉えられおり、中国版マーシャルプランとされた中国の一帯一路は、ヨーロッパ人にとって「ジャイアン」のような存在だったのである。一帯一路による中国経済のヨーロッパ社会への浸透によりヨーロッパも社会的な実態としては一国二制度のように第一の英語の自由主義経済層、フランス語の政治経済層、ドイツ語の一国経済層と構造が三段階になり分かりやすくなった。フランスは太平洋に広く広がる海洋国家でもあり、国際化した自由主義経済で、政情不安定な状況では今後は一国経済のドイツ語より有利に成り易い傾向がある。(2023.7.3.筆者記。)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です