日経平均は23年度に入り上昇を続けバブル後の最高値を更新し、令和時代の最高値を模索している。ガソリン価格高騰等物価上昇への対策として金利上昇により、世界的に株価は低下していくという予想が支配的だったが、国家間の対立や財政問題といったリスク要因を潜り抜けて、現在の株価まで上昇し、アメリカでは空売り損失が1200億ドル以上に達しているという。空売りのロスカットや損切りが発生した場合はさらに株価は上値を試すことになる(日経平均の最高値は1989年12月29日の38915円である。)。
2023年の日本の経済成長率は2%を越え、年単位ではアメリカの経済成長率を追い抜く勢いがあった。世界経済は不安定な環境の中で推移しているが、成長率が低下しているアメリカ経済に対して日本経済は堅調に成長率を維持してインフレ目標を達成した。しかし、アメリカ経済は債務上限法を撤廃しなかったことにより、デフォルトリスクが増大した他に貨幣需要が増大しており、その貨幣需要の増大が、インフレによる成長力の持ち直しに繋がる可能性はある。
日本の貯蓄率は近年改善し、2015~2019までの1.1%から2020年以降は10%以上上昇した。日本の貯蓄率の上昇は、インフレを促進することになった。その貯蓄が、証券市場では、株や不動産という現物に、再投資されているという。貯蓄からの投機は、インフレの抑制を引き起こすので、必ずしも投機家が株価の更なる上昇を引き起こすとは限らず、貯蓄からの投機がシテ戦で空売りに勝つか負けるかは半信半疑である。
しかし、大まかに言って、消費活動の活性化と一致した株価上昇は投機的な動きとされているので、投機的な動きが出尽くしていけば、その反動として世界的な貨幣需要の増大を引き起こし、金利上昇が続けば、空売り残高の解消が始まるのではないか。貨幣需要(貨幣の無い状態)と金利は、人情に適って推移していくが、資産需要(資産の無い状態)と金利には金利上昇という非人情な相関関係がある(金利上昇は銀行には利益になる。)。一国経済の限界を補完するのは貨幣需要であるが、資産需要についてはこれからますます断捨離のような取捨選択が求められる。
資産家は物を買い続けても逆説的にデフレを起こすだけだが、貨幣需要が低下した状態の貯蓄家は断捨離により再びインフレを起こし経済の好循環を作り出すことができる。政治社会と調和して豊かさを保つことができるのは貯蓄家であり資産家ではなかったのである。とはいえ、資産家の資産増加により物価が低下しても消費者としての資産家には好都合なことなのであり、貯蓄家か資産家かの立場の違いではなく、消費者心理の悪化であり、実際には人間の心理の方が問題なのである。(2023.6.22。筆者記)