企業の競争力は市場全体の中での企業毎の売上高別のマーケットシェアとなって現れ、企業はそのマーケットシェアを競い合い、もし一企業だけが市場を独占する場合は独占禁止法による摘発が行われる。
経済競争では他の企業に対する質的な優位性が重要な役割を果たしている。市場全体の中における自社の他社に対する質的な優位性は、他社の市場への参入障壁となり相手企業の進出を抑制する。企業間での競争力を左右する他社との比較による自社の質的な優位性は企業のブランド力そのものであり、19世紀以降はアメリカのコーラや日本のアニメのように、国民を代表してナショナルシンボルになるような商品や製品が登場するようになった。
国家を代表する商品や製品を作るというプロイセンの近代化のプロセスで成立した一国経済という思想は、国家が自国の産業を保護する保護主義を根拠としている。国家間の競争の中で、資本主義のグローバル化の中で、国民経済という経済理論は、逆に国民経済の後退を引き起こす危険が出てきている。
経営の国際化は市場の単一化を促進すると共に消費者の利便性を向上させ、人類の国際的活動が活性化し、地球市民には経済の国際化が必要不可欠になっている。経営の国際化への対応や環境への取り組み等の人類の課題解決への企業の取り組みは、経済活動の持続可能性を高める重要な要因と思われるようになった。
だが当然そこにも更なる競争は存在する。例えば国際決済市場に参入するためには、SWIFTやCIPSと言った国際銀行間決済システムを導入しなければならないが、金融機関毎に導入状況は異なっており、消費者は利用目的に応じて正しい金融機関を選択する必要がある(国内からは二行のみ)。また、中国リスクを回避するために、中国とは異なり日本と関係の大きいインドネシアや英米法が有利な東南アジアに拠点を移設させる企業も増加している。米中の経済摩擦のように経済競争は激化し、消費者の消費判断はアイデンティティーの問題に直結し難しくなっている(上述したように、ナショナルアイデンティティーが人類や個人のニーズに一致するとは限らなくなっている。)。資本主義の国際化の時代では、自分本位に自由な経済活動を追求することが経済的な財産権を守ることになる一方で、その反面として経済主体は常に国家と世界の間にある両義的な線分における綱渡り芸人であるのと同じ状態にあることになる。
これから先の経済の歴史で単純に単一化による自由化が利便性の向上とは見なされず、経済の変化に合わせて複雑性は増大し、利便性の向上は新たな金融リスクを増加させている。消費者や企業は戦略的に、自らの消費計画や経営理念を立案しなければならないのである。(2023.6.20。筆者記。)