経済政策の歴史では、まず財政政策により、公共事業を拡大することにより、不況を脱することが目標だった。そして、二千十年代には、インフレ目標を定めた金利操作による金融政策により、株価を操作して、不況を脱するという方法が確立した。だが、いずれの政策も有事や金融危機と言ったリスクの顕在化が発生した。
アベノミクスの金融政策では、金利をマイナスまで引き下げることによりインフレ目標を達成しようとするもので、軍事力を根拠とした帝国主義的な一国経済のニューディール政策と違い経済至上主義思想の成功事例となった。
アベノミクスでは株価と連動してインフレ率を2%以上にすることにより、経済学の理論の通りに、有向求人倍率を100%以上にすることに成功していた。しかし、それでも問題はあり、金利政策では、株価と物価をいかに連動させるかが論争の的だったのである。
2021年頃から、物価との関係では、有事や医療に関連した特需により、例えば米や石油の買い占めによる実質的な物価高騰が発生している。金利政策だけでは、株価と物価との関係は不明確になっていたが、有事が発生することにより、実質的な物価の上昇がいよいよ進むことになったのである。
株価上昇、物価上昇という言葉は、景気の良い響きだったが、その先に待ち受けているものは、有事発生によるダーティーなインフレ率向上なのである。
しかし、急激な物価上昇(燃料等の物資の枯渇)は、バーチャルな世界での好景気とは逆行した現実世界での実質との更なる乖離を引き起こすことになる。世界を平和な時代に戻すのはパリのパンの価格である。(筆者記)