これまで与党の選挙ではナチズムや軍国主義を根拠として従来からの日本の政治風土を当てにしてヒトラーを髣髴とさせるようなポピュリズム的選挙対策をとってきていた。
しかし、その選挙対策にも盲点が発生してきている。
従来の選挙対策は、憲法改正や防衛費増大など国家の基本的機能が有権者への政策提案の基本だった。しかし、こうした選挙対策には、民主主義社会や諸外国からの批判が戦後社会の文脈の中で殺到した。
憲法改正や防衛費増大には、内容からすれば、諸外国の圧力に対して小さな国家の基本である夜警のための資源を確保しようとする当然の危機意識が反映されている。
しかし、実際の選挙対策の大衆イメージの中ではヒトラーや軍閥政府や昭和軍部を連想させるようなイメージが取られ、根本にある思想と行動が軍国主義と揶揄されたことがきっかけで、日本と諸外国の間にあるマスメディアの社会心理同士で対立が発生してしまっていたのである。
与党の選挙対策の根本にある思想と行動は、第二次安倍政権以降は軍国主義と一致した賃上げが中心になり、安倍晋三元首相の暗殺時点迄と同様に違憲状態や破壊行為防止法に違反した状態になり、選挙対策のイメージを超えて社会で実際に現実化してしまっていた。
そこで始めて選挙対策のイメージではなく政治哲学が主題化されることの重要性が示されたのでもある。結果として選挙対策の根本にある思想と行動には規制緩和と軍国主義を巡って今の所三点以上の改善の余地があった。
規制緩和は有権者に自立を促すことに他ならないが、ナチズムでは顰蹙を受ける上に自国の有権者を囲い込み隷従させるだけになってしまう。第二次安倍内閣の選挙対策では感情に訴えるような激しいイメージの赤色の選挙ポスターを度々目にしていたが、有権者は感情に流されて隷従させられていたのである。
第二次安倍内閣から新首相が二人誕生したが、どちらの首相も批判を回避して政争からは逃げ続け率先して新しい戦略を打ち出して総選挙を戦ったわけではなく、軍国主義色の強い雇用や財政政策が中心で、コロナ禍への対応という数年にわたる社会の関心の変化を選挙対策に取り入れた場合に選挙結果がどのように変化するのか調査する恰好の実験チャンスを逃してしまった。研究結果隠蔽と同様の研究者にとっての最悪の事態が発生していたのである。
また、浮動票を無尽蔵に仮定して混乱を利用して浮動票を獲得することを狙って闇雲にプロパガンダを撒き散らすよりは、選挙の電子化やコンピュータや人工知能で予め選挙結果を完全に予測しておく方が無駄な政治的暴力を抑制し有権者は将来計画が立てやすくなるのではないか。そのためには、戦後間も無くの民主主義社会とは異なり、左右で共通する基本的な科学的対応力だけではなく、左右両翼の歴史や社会的文化的な帰属意識や趣味嗜好の違いに至るまでの明確な特徴の違いを示し合うことが重要である。
日本社会はこれまで数多くの犠牲を支払って科学とは何かを知ることになった。「大衆の反逆」の著者であるオルテガは大衆は科学への関心は高いと述べているが、科学への貢献こそが大衆への貢献であり、第二次安倍内閣以降のポピュリズムには科学(科学啓蒙、ポピュラーサイエンス)という知性的基礎が要請されなければならない。(2024.9.21.筆者記。)